有効活用の方式 | (1)事業受託(管理)方式 |
方式の概略 | ・事業受託会社が土地所有者に代替して有効活用の企画から実行までを一括して請負 |
土地、建物の所有者 | ・土地→現行の土地所有者 ・建物→原則として現行の土地所有者等名義で建築 |
建物の建築資金の調達方法 | ・土地所有者が自己名義の借入金等で資金調達 |
事業期間(契約期間) | ・法定期間の定めは無く当事者間の合意(通常10年前後位) |
土地所有者の税務 | 【所得税関係】 ・賃貸不動産に係わる収入及び費用は土地所有者に帰属 【相続税関】 ・財産→土地(貸家建付地)建物(貸家) ・債務→借入金残高 |
事業受託方式とは、デベロッパー等の事業受諾者が土地所有者に代替して、開発対象地の立地、市場性の検討から企画の立案・実行及び完成後の建物の管理運営までを引き受けるというものです。
事業の流れ [1] 土地に係る立地・市場性・法規制等の調査 ↓ [2] 企画立案・事業収支計画の作成 ↓ [3] 資金調達(借入金)検討・斡旋 ↓ [4] 建築工事着工(自社請負・関連会社紹介) ↓ [5] 完成建物の一括借上げ又は入居者募集代行 ↓ [6] 建物の管理・維持補修の実施 |
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資金調達 | 本人 |
有効活用の方式 | (2)土地信託方式 |
方式の概略 | ・土地所有者が信託銀行に土地を信託し、その運用の成果を受益者に信託配当として交付 |
土地、建物の所有者 | ・土地→信託銀行(形式的移転) ・建物→受託者である信託銀行名義で建築 |
建物の建築資金の調達方法 | ・形式上、信託銀行が借入れるが、実質上は土地所有者の負担 |
事業期間(契約期間) | ・法定期間の定めは無いが借入金の返済期間で設定(20年~30年) |
土地所有者の税務 | 【所得税関係】 ・賃貸不動産に係わる収入及び費用は土地所有者に帰属 【相続税関】 ・財産→土地(貸家建付地)建物(貸家) ・債務→借入金残高 |
●税務上の実質は受託方式と同じ | |
資金調達 | 形式上→信託銀行 実質上→土地所有者 |
有効活用の方式 | (3)建設協力金方式 |
方式の概略 | ・賃貸不動産の借地予定者が建築主(土地所者)に建築資金を差し入れて当該資金で建物を建築 |
土地、建物の所有者 | ・土地→現行の土地所有者 ・建物→原則として現行の土地所有者名義で建築 |
建物の建築資金の調達方法 | ・賃借予定者の差し入れた建設協力金を建設資金に充当 |
事業期間(契約期間) | ・当事者間の合意(民法に定める最長期間20年) |
土地所有者の税務 | 【所得税関係】 ・支払利息は発生せず、建物の減価償却費は土地所有者に帰属 【相続税関】・財産→土地(貸家建付地)建物(貸家) ・債務→建設協力金の内返還必要額 |
建設協力金方式とは 建物利用予定者が土地所有者に対して建設協力金等の名義で事業資金を差し入れ、当該資金を持って土地所有者が建物を建設し、建築後の建物を事業資金の差入者が一括して借上げるという方式です。(差し入れられた資金は建物所有者が預かる保証金になります。) この方式を採用する土地所有者側の事情は次の通りです。 [1] 土地は処分したくはないが、有効利用等のノウハウはない。 [2] 自力で建設してもテナント(入居者)を確保する自信がない。(完成後の建物の運営及び維持管理能力にも問題がある。) [3] 金融機関からの事業資金の借入をしたくない。(又は金融機関からの融資が不可能) [4] 土地の有効活用はしたいが、借主が建物を建築した場合に発生する借地権には様々な保護規定が設けられているので、権利関係の強い借地権ではなく、これより弱い借家権として処理したい。 |
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資金調達 | 資金調達→不要 建設協力金で建築 |
有効活用の方式 | (4)定期借地権方式 |
方式の概略 | ・借地期間の法廷更新制度が無く、所定の期間経過後に土地所有者に土地を返還 |
土地、建物の所有者 | ・土地→現行の土地所有者 ・建物→借地人が建築 |
建物の建築資金の調達方法 | ・不要(土地の所有者は、土地を貸すだけで建物は建築しない) |
事業期間(契約期間) | ・(一般)定期借地権→50年以上 ・建物譲渡特約付借地権→30年以上 ・事業用借地権→10年以上20年以下 |
土地所有者の税務 | 【所得税関係】 ・地代収入が発生(預り保証金の経済的利益の取り扱いに注意) 【相続税関】 ・財産→土地(定期借地権の目的とされた土地)預かり保証金の化体財産 ・債務→預り保証金に係る複利現価額 |
3種類の定期借地権 [1] (一般)定期借地権(借地借家法第22条) [2] 建物譲渡特約付借地権(借地借家法第23条) [3] 事業用借地権(借地借家法第24条) ●利用制限 [1] [2] は制限なし[3] は居住用は除く ●存続期間(当初) [1] 50年以上 [2] 30年以上 [3] 10年以上20年以下 ●法廷更新 [1] 特約により法廷更新を排除する事が可能 [2] [3] なし ●特約等に関する特徴 [1] 借地契約において下記事項の特約を締結 A:特約の更新の排除 B:再築による期間の延長の排除 C:建物買取請求権の排除 [2] 借地契約設定後30年経過時に建物を土地所有者に譲渡する旨の特約を締結(売買予約等) [3] 借地契約において下記事項が自動的に排除 A:契約の更新 B:再築による期間の延長 C:建物買取請求権 ●契約書式 [1] 書面による契約が必要 [2] 具体的規定なし [3] 公正証書による契約が必要 ●終了事由 [1] [3] 期間満了により終了 [2] 建物譲渡により終了 |
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資金調達 | 土地所有者は資金調達は不要 |
有効活用の方式 | (5)等価交換方式 |
方式の概略 | ・土地所有者の所有地上に、開発業者の負担による建物を建築し、完成後の建物を土地の価格と建築資金の比率で両者に配分 |
土地、建物の所有者 | ・土地→土地所有者と開発業者の共有 ・建物→土地所有者と開発業者の区分所有 |
建物の建築資金の調達方法 | ・不要(譲渡する土地の価格で建物を取得するので建築資金は不要) |
事業期間(契約期間) | |
土地所有者の税務 | 【所得税関係】 ・支払利息は発生せず、建物の減価償却費は低額となる場合が多い 【相続税関】 ・財産→土地(共有持分対応分) 建物(区分所有権分) ・債務→原則として債務はない |
等価交換方式とは、我が国の狭く地価の高い事情を考慮して、土地の高度有効利用を促進するために考えられた制度で、具体的には、土地所有者が所有する土地の上にデベロッパー等の開発業者が建設資金負担して建物を建築し、建築後の建物の床面積を土地所有者と開発業者が土地価格と建築資金の割合を基に計算した比率により各々が所有(区分所有が一般的)するというものです。
等価交換方式のメリット・デメリットは下記の通りです。 |
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資金調達 | 原則債務はない |
有効活用の方式 | (6)共同開発ビル方式 |
方式の概略 | ・複数の土地所有者の所有地上に、当該複数の土地所有者が共同して建物を建設 |
土地、建物の所有者 | ・主な所有形態は4通り [1] 分有方式 [2] 区分所有方式 [3] 建物共有方式 [4] 土地建物共有方式 |
建物の建築資金の調達方法 | ・土地所有者が自己名義の借入金等で資金調達 |
事業期間(契約期間) | |
土地所有者の税務 | 【所得税関係】 ・支払利息が発生し、建物の減価償却費も通常の取得価格ベースで計算 【相続税関】 ・財産→土地・建物 (共有又は区分所有の場合はその対応分) ・債務→借入金残高 |
資金調達 | 土地所有者の事故名義の借入金等で資金調達 |